ヰタ・セクスアリス 再生時間:3時間38分18秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
文豪鴎外による性的哲学小説「人生のあらゆる出来事は皆性欲の発揮である」 「性欲の目金めがねを掛けて見れば、人間のあらゆる出来事の発動機は、一として性欲ならざるはなしである」
丁度好いから、一つおれの性欲の歴史を書いて見ようかしらん。実はおれもまだ自分の性欲が、どう萌芽ほうがしてどう発展したか、つくづく考えて見たことがない。一つ考えて書いて見ようかしらん。白い上に黒く、はっきり書いて見たら、自分が自分でわかるだろう。そうしたら或は自分の性欲的生活が normal だか anomalous だか分かるかも知れない。勿論書いて見ない内は、どんなものになるやら分らない。随したがって人に見せられるようなものになるやら、世に公にせられるようなものになるやら分らない。とにかく暇なときにぽつぽつ書いて見ようと、こんな風な事を思った。
明治42年発表の掲載雑誌「昴」が時の政府により発禁処分となった所以の小説。タイトルはラテン語で「性生活」を意味し、そのタイトルから想起されるセンセーショナルなイメージとは裏腹に、本書は「金井君」の6歳から21歳までの性の歴史を哲学的思想に基づいた自伝的小説の体を無している。
鴎外のシニカルな視点から記された人の性の萌芽、性欲の発育がいかにして起こったかを、覗き見ていただきたい。