算盤が恋を語る話 朗読:野口晃 再生時間:32分19秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
青年Tは恋をした。相手はTが働く会計部で隣の席のS子であった。内気でこれまでろくに女性と話したこともないTは、ある方法を思いついた。S子の出勤前に、彼女のデスクの算盤に、「十二億四千五百三十二万二千二百二十二円七十二銭」
という数字を弾いて、机の上に出しておくのだった。思いを伝えるための暗号である。だが、S子にその意味は伝わらず、Tはしつこくそれを毎日続けていた。
そして、ある日のこと。いつもより長い間算盤を見つめていたS子が、ハッとした様子でTの方を振り向き、二人の目が合ったのだ。すぐに赤面して視線を逸らすS子の様子に、Tは彼女がとうとう暗号を読み取って、思いが伝わったと確信するのだが……