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実説 城谷怪談「十五年目」 朗読:城谷歩 再生時間:19分18秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
「十五年目」(19分)
横澤さんは父と会ったことがない。生まれる前に死別していたからだ。
彼女が中学三年生、その日も遅くまで受験勉強で起きていた。外は降りしきる雨の音が激しさを増す九月十五日。
突然彼女は耳元ではっきりと名前を呼ばれてはっと顔を上げた。家内には母しかいないというのに声は男性だったからだ。
隣室との間のふすまが開いて寝ていた母も驚いたように顔を出し「...今の声」二人して声を聞いたのである。
翌朝、母がカレンダーを見て「あれ、お父さんだわ」と呟いた。