梶井基次郎 「檸檬(れもん)」 再生時間:21分56秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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知る人ぞ知る名作家、梶井基次郎の代表作「檸檬」のオーディオブック!!
内容紹介
「檸檬」は1925年、同人誌 「青空」 の創刊号にて発表された。発表当時は、ただ静かに同人誌に発表されただけであったが、その後小林秀雄らに評価され、梶井基次郎自身が文壇に認められる作品となった。また以後には、書店に檸檬を置き去る人が後を絶たなかったと言われている。梶井基次郎は、自身が少年時代から肺結核に苦しみ、若くしてこの世を去ることとなったが、そのため基次郎の作品には、肺病を患った主人公が多く登場する。「檸檬」の主人公もまた、肺を病んでいた…
―その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった。その頃私は肺尖を悪くしていていつも身体に熱が出た。その熱い故だったのだろう、握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった―
得体の知れない不安に心をおさえつけられ、好きであった音楽や丸善に辛抱がならなくなる。誰もいないところへ逃れたいと願い彷徨い歩いていた折、以前から好きであった暗い果物屋に珍しく並んでいた檸檬を目にする。ただひとつだけ買ったその檸檬は、不思議と心の不安を和ませ、心を幸福な感情で満たしていった。