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押絵と旅する男

押絵と旅する男

著者:江戸川乱歩

朗読:野口晃

再生時間:1時間12分54秒

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内容紹介

私が、ある日電車に乗っていると、同じ車両に乗っている男が、平べったい荷物を風呂敷に包んでいるのを見て奇妙に思った。一度風呂敷に包んであったものを、わざわざ取出して、そんな風に外に向けて立てかけたものとしか考えられなかったのである。
私は男から、荷物の中身を見せてもらうと、そこには泥絵の具で描いた座敷の中に、老人と、それにしなだれかかる若い女を描いた精巧な押絵細工が施してある。私はその押絵細工がまるで生きているかのように見えた。
男は私に、少し離れて遠眼鏡で押絵を見るように促す。私は言われた通りにしようとすると、押絵で描かれた老人と若い女の生々しさに、この世ならぬものを見た思いをするのだった。
私は男から身の上話を聞くと、更にその内容は想像を超えた不可思議なものだったのである……

著者情報

江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)

日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県の現・名張市出身。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーをもじったもの。1923年に「二銭銅貨」で作家デビューを果たす。その他の代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』などを始めとした本格推理小説や、『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説など多数。大正時代から昭和時代にかけて、生涯で約130の作品を発表し、日本の近代的な推理小説の礎を築いた。1954年には、乱歩の寄付を基金として「江戸川乱歩賞」が創設された。同賞は、これまでに陳舜臣、西村京太郎、森村誠一、東野圭吾などが受賞するなど、推理小説作家の登竜門となっている。


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