押絵と旅する男 朗読:野口晃 再生時間:1時間12分54秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
再生速度
- x0.5
- x0.75
- x1
- x1.25
- x1.5
- x2
- x3
- x4
会員登録をすれば、全作品が聴き放題。入会月は無料です。
すでに会員登録済みの方は、こちらからログインして下さい。
内容紹介
私が、ある日電車に乗っていると、同じ車両に乗っている男が、平べったい荷物を風呂敷に包んでいるのを見て奇妙に思った。一度風呂敷に包んであったものを、わざわざ取出して、そんな風に外に向けて立てかけたものとしか考えられなかったのである。私は男から、荷物の中身を見せてもらうと、そこには泥絵の具で描いた座敷の中に、老人と、それにしなだれかかる若い女を描いた精巧な押絵細工が施してある。私はその押絵細工がまるで生きているかのように見えた。
男は私に、少し離れて遠眼鏡で押絵を見るように促す。私は言われた通りにしようとすると、押絵で描かれた老人と若い女の生々しさに、この世ならぬものを見た思いをするのだった。
私は男から身の上話を聞くと、更にその内容は想像を超えた不可思議なものだったのである……