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石榴

石榴

著者:江戸川乱歩

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内容紹介

昭和――年の秋の初めのこと信州のS温泉に旅行に出かけた私は、翠巒荘という旅館で猪俣という男と出会う。

彼はミステリ好きであり『トレント最後の事件』という作品を読んでいた。
初対面のはずなのに、いつかどこかで会ったような感じがする男であった。

仕事が刑事でありながら探偵小説をこよなく愛する私は、同好の士を見つけた思いで、お互いどちらからということもなく接近して行って、彼と懇意に話すようになったのである。
自分が刑事であることを伝えたことから猪俣は、一向世間に知られなかった事件のなかに風変わりなものが無かったかを問う。
そこで私はふっと思い出した「硫酸殺人事件」について語ることにした。

それは今から足掛け十年ほど前のこと。名古屋市の郊外にあるGという住宅街で起こった事件だった。

ある夜のこと、そのG町を巡回していた管轄の巡査が、空き家のはずのあばら家のなかに、硫酸を顔にかけられて、はぜた石榴のような遺体を発見したことから始まった……


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・当時の録音状況や、原盤の保管状態の不備などにより、一部にお聴き苦しい箇所があることをご了承下さい。