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郷土

郷土

著者:山本周五郎

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内容紹介

山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。

あらすじ

慶応四年(明治元年)桑首に住む戸部丈右衛門は、庄内藩の兵の侵入に備えて、女と子供たちを逃がそうとしていた。そのために、娘たねの出産の付き添いで半道寺にいる老母きよえの元にも、桑首にしばらく帰って来ずに半道寺にとどまるよう手紙をやったが、翌日に帰って来た返事を見て困った顔になった。これから帰るため、日暮れには着くとのことだった。丈右衛門はおそらく母は手紙を読んでないのだと思い、妻のりうに言って七郎次を使いに走らせた。
ところがその日の暮れ、きよえは七郎次が供をして桑首に帰って来た。丈右衛門は手紙が届かなかったのかと問うが、きよえはその手紙なら読んだという。庄内軍もすぐそこまで迫っていると言っても、きよえは動じる様子はなかった。
どうにか母や妻、子供たちを安全なところに逃がしたいと思う丈右衛門であったが……


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・当時の録音状況や、原盤の保管状態の不備などにより、一部にお聴き苦しい箇所があることをご了承下さい。