秋の駕籠 再生時間:1時間12分32秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。あらすじ
六助と中次は棒組の籠屋であった。六助は肥えていて年は二十七であるが、うっかりすると四十くらいにみえた。
固ぶとりで毛深くあぶら性で、その動作はゆっくりしていて、話しぶりも暢びりしていた。
一方、中次は肥えてもいず痩せてもいなかった。色が浅黒く、いなせな顔だちで、
年は六助と同じであるが二つばかり若くみえた。性格はせっかちでもなく、悪くおちついてもいない。二人はいつも喧嘩をしているである。四年も五年も一緒に稼ぎ、寝起きからなにから一緒にしていて、ふだんは実の兄弟より仲が良いくせに、いつもつまらないことですぐに喧嘩をしていたのだ。ただ、たいてい五日から七日、長くても十日で仲直りをしていたのに、今回の喧嘩は何と半月も続いていた。
二人がよく行くめし屋の「魚金」の一人娘であるお梅は、いつまでも仲直りしない二人のことを見かねてあることを言い出すのだが————?
「六助はおれの友達だ、おれの友達のことを悪く云うつもりか」
「中次はおれの友達だからな、おれの前で友達のことを悪く云うのはよしてもらいたいんだ」
六助と中次、二人の友情物語。