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源氏物語(三十二) 梅枝(うめがえ)

源氏物語(三十二) 梅枝(うめがえ)

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内容紹介

与謝野晶子による現代語訳を朗読しオーディオ化しました。

多様な人物たちの織り成す複雑な心理描写を、分かりやすく情感豊かに読み上げました。またそれぞれの帖の冒頭では翻訳者の与謝野晶子が、その帖の内容を一首の歌にして見事に表現しています。

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源氏物語は、紫式部によって書かれた全五十四帖から成る長編小説。

期間にして74年、四代の天皇の御代に渡る壮大な物語であり、その文章の構成や美しさ、人物の心理描写の面などからも、日本の文学史上最古にして最高傑作とも言われています。

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源氏物語 第三十二帖 梅枝(うめがえ)

東宮の元服(げんぷく・男性の成人式)と同じころに明石の姫君の裳着(もぎ・女性の成人式)も行われることになり、光源氏はその準備に余念がない。源氏は明石の姫君のために秘伝のお香の調合を行う。紫の上もひそかに香を調合している様子を知り、源氏は「薫香を競い合おう」と提案するのであった。

裳着の準備もさしせまった二月、蛍兵部卿宮(ほたるひょうぶきょうのみや)が源氏を訪ねてきた。朝顔の君や他の女人たちに香を頼んでいた源氏は、それらを蛍兵部卿宮の前へ出し、香を比べ、判定してもらうことにした。どの香もすばらしく選びがたいという蛍兵部卿宮に源氏は「八方美人の審判者だ」と笑う。月がのぼり、そのまま酒宴となった。貴族たちの楽器や歌声は明け方まで続いた。

東宮の元服が行われた。貴族たちは娘を後宮へ入れたいと願ったが、源氏が明石の姫君を後宮に入れようとしているのを知り、みな躊躇しているのであった。源氏は優れた女人が数多くいる後宮がのぞましいと言い、明石の姫君の宮仕えを延期し、他の貴族たちの娘の入内をうながした。

明石の姫君の入内は四月とし、調度品をそろえ、よい書物なども選んでいた。美しい仮名文字を書く人を吟味し、新たに書を依頼するのであった。

そのころ、内大臣は娘の雲居の雁(くもいのかり)のことを憂慮していた。結婚しないままひきこもっている娘に不安を覚え、源氏の息子・夕霧(ゆうぎり)との仲を反対してしまったことを後悔すらしていた。そんな内大臣の様子が夕霧にも伝わっているのだが、夕霧は、出世をして一人前になったうえで雲居の雁を迎えに行くと固く決めているのだった。

二人の進展がないのを見て、源氏も夕霧のことを心配し、ほかの女性との結婚をすすめる。夕霧の決意は変わらないが、その噂を聞いて、雲居の雁は心を悩ますのであった。

著者、翻訳者情報

作者:紫式部(むらさきしきぶ)

平安時代中期の女性作家、歌人。中古三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人。父は越後守・藤原為時。母は摂津守・藤原為信女。夫である藤原宣孝の死後、召し出されて一条天皇の中宮であった藤原彰子に仕えている間に『源氏物語』を記した。

現代語訳:与謝野晶子(よさの・あきこ)

作家、歌人。大阪府堺市生まれ。旧姓は鳳(ほう)。本名「志よう」。幼少時から文学や古典に親しみ、10代半ばで和歌を投稿するようになる。歌人・与謝野鉄幹が創立した新詩社の機関誌「明星」に歌を発表。鉄幹と恋仲となり鉄幹とともに上京し、処女歌集「みだれ髪」を刊行。のち鉄幹と結婚し、「小扇」「舞姫」「夢之華」などの歌集を刊行し、女流歌人としての名声を確立。その他作品には、「君死にたまうことなかれ」「常夏」「佐保姫」「春泥集」「青海波」「夏より秋へ」「朱葉集」「火の鳥」「太陽と薔薇」などがある。


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