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山本周五郎「なんの花か薫る」 再生時間:1時間25分37秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
あらすじ
お新にとって江口房之介は不思議な存在だった。初めてやって来た時、まさか馴染みになるとは思ってもみなかった。それはたいてい勘で当たるのだが、それが見事に外れたのだ。酒を飲んで喧嘩をして追われていた房之介が「泊まらせてほしい」と声を掛けたのがきっかけだった。端正な顔は青ざめてこわばり、ひどく昂奮している様子で刀をお新に渡す手が震えていた。何もわからないほど泥酔してしまっていたので、どうして喧嘩になったのかもはっきりした記憶はないという。だが、人を斬ったらしいのだ。やがて地廻りが房之介を追ってやってきた時には、お新は布団のなかに房之介をかばった。どうにか地廻りをやり過ごすと、礼を言って帰っていった。房之介の存在はお新にもほのかな思いを芽生えさせるのに十分なものであった。
正月の中旬のある日、再び房之介はやってきた。その日を境に、房之介はお新のもとに通うようになった。「客に惚れてはいけない」という忠告は常に心にあったが、お新の心は確実に揺れているのであった……