山本周五郎「泥棒と若殿」 再生時間:1時間26分21秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
あらすじ
成信は物音に反応し、枕元の刀に手を伸ばした。何者かが屋敷に忍び込んだのだ。だが、忍び込むというよりは、躓いてよろけては何かを踏み抜くような激しい音をさせたりで、存在を隠せていない。成信は相手のうろたえた顔を想像して苦笑いした。
やがて寝所に小柄な男がやって来た。これは盗人かもと、ついおかしくなって成信は思わずくすくす笑い出した。成信が起きているのに気付いた男は「金を出せ」と脅すが、当の成信はのらりくらりとかわし、遂には「好きに家探しをしろ」と言い放つ。
そこを動くなと脅迫して家探しを始めた男だったが、あまりにぼろぼろの家に悪戦苦闘し、しまいにはどこかへ落ち込んでしまう。
その屋敷には金品どころか食べものすらろくにありはしなかったのだ。成信も三日は食べていないという。あきれ果てた男は、その翌朝膳ごしらえをして飯を振る舞った。そして、盗みに入ったはずがこのままでは飢え死にしかねない成信の身を案じるのであった。