トルストイ童話集 再生時間:2時間31分44秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
ロシアを代表する文豪が子供たちへ贈る、物語の灯火――。この「トルストイ童話集」は、「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」などで知られるレフ・トルストイが、子供向けに書いた童話を集めた作品集です。
この作品集は、子供向けでありながらも、トルストイの道徳観念や宗教観が盛り込まれ、巧妙な言葉選びと隙のない構成の中に分かりやすくその哲学が織り込まれています。
さらに、感情のこもった声優による朗読に加え、臨場感や雰囲気を高める音楽や効果音を加えて、一層お子様にも親しみやすいオーディオブックとなっております。
「馬車に乗った熊」
ある熊使いが居酒屋にやって来ました。熊を門につなぐと、自分は一杯飲みに入ってしまいました。
その間に三頭立ての馬車が続いてやってきて、その馭者も居酒屋のなかに入っていくと、繋がれていた熊は、その馬車の中の丸パンの匂いを嗅ぎつけて、綱をほどくと、その馬車の中をがさごそと探り始めました。
馬は後ろを振り向くと、びっくりして、街道を一目散に走りだしました。
熊は、両手で走り出した馬車の縁に掴まったまま、どうしたものかと途方に暮れていました。馬は熊が恐ろしくて恐ろしくて仕方が無いので、何度も後ろを振り返っては、一層激しい勢いで街道を駆けて行きました。
熊は「このままでは馬に殺されてしまう」と、うーうー唸りましたが、馬は一層怖がるばかりなのでした……
「子供のためのお話」
ある秋のこと、子供たちを連れた乳母は、雨を避けて一件の百姓家へやって来ました。
百姓一家をそっちのけにして、食事の準備を整えて食べさせようとしますが、女の子のソーニャはまともな服を着ることも出来ず汚れていて、物欲しそうにテーブルの料理を見ている姿が気になって仕方がありません。
「あの子にやってちょうだい」
とソーニャが言うと、男の子のペーチャも同意しますが、乳母は冷たく突っぱねるばかりです。
「みんなを同じようにするなんて、そんなことが出来ますか。神様から授かった人と、授からなかった人があるんですからね」
乳母の言葉に逆らうようにソーニャは食事をしようとしません。
「そんな意地の悪い神様、わたし大嫌い」
ソーニャがそう言った時、暖炉の上から咳をする音が聞こえ、しわがれた声で話し出す者がいました……