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渋江抽斎 (3)

渋江抽斎 (3)

著者:森鴎外

再生時間:3時間19分12秒

提供:パンローリング

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内容紹介

森鴎外(本名林太郎)は、官人に対する医療や医薬全般、医師の養成などを司る典医の家に生まれました。幼い頃から「論語」や「孟子」などの漢学書、オランダ語を学び、実年齢で習得するよりも早い段階ですでに高い学力を持っていたことで、周囲から将来を期待されて育ちました。
のちにドイツ語も習得し、東京大学医学部を卒業しました。物書きになることを夢見ながら父の経営する病院を手伝い、陸軍省の軍医となりました。
ドイツ留学にて教養や見識を深め、帰国後、医学・文学両面においての革新のために活発に活動していきました。
軍医と作家という二つの道を歩んだ鴎外の仕事の業績は多岐に渡っており、文学活動としては翻訳・創作のほか、晩年には歴史研究による小説や史伝の執筆へと移行していきました。
現役の軍医として最高位の地位まで昇りつめ、生涯、文学上での弟子は持たなかった鴎外でしたが、彼を愛好し尊敬した作家に芥川龍之介や三島由紀夫などがいます。

<作品冒頭>
三十七年如一瞬。学医伝業薄才伸。栄枯窮達任天命。安楽換銭不患貧。これは渋江抽斎の述志の詩である。想うに天保十二年の暮に作ったものであろう。弘前の城主津軽順承の定府の医官で、当時近習詰になっていた。しかし隠居附にせられて、主に柳島にあった信順の館へ出仕することになっていた。父允成が致仕して、家督相続をしてから十九年、母岩田氏縫を喪ってから十二年、父を失ってから四年になっている。三度目の妻岡西氏徳と長男恒善、長女純、二男優善とが家族で、五人暮しである。主人が三十七、妻が三十二、長男が十六、長女が十一、二男が七つである。邸は神田弁慶橋にあった。知行は三百石である。しかし抽斎は心を潜めて古代の医書を読むことが好で、技を售ろうという念がないから、知行より外の収入は殆どなかっただろう。ただ津軽家の秘方一粒金丹というものを製して売ることを許されていたので、若干の利益はあった。
抽斎は自ら奉ずること極めて薄い人であった……

作品一覧

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渋江抽斎 (1)
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