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佐橋甚五郎

佐橋甚五郎

著者:森鴎外

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内容紹介

豊太閤が朝鮮を攻めてから、朝鮮と日本との間には往来が全く絶えていたのに、宗対馬守義智が徳川家の旨を承けて肝いりをして、慶長九年の暮れに、松雲孫、文いく、金考舜という三人の僧が朝鮮から様子を見に来た。徳川家康は三人を紫野の大徳寺に泊まらせておいて、翌年の春秀忠といっしょに上洛した時に目見えをさせた。
中一年置いて慶長十二年四月に、朝鮮から始めての使が来た。もう家康は駿府に隠居していたので、京都に着いた使は、最初に江戸へ往けという指図を受けた。使は閏四月二十四日に江戸の本誓寺に着いた。五月六日に将軍に謁見した。十四日に江戸を立って、十九日に興津の清見寺に着いた。家康は翌二十日の午の刻に使を駿府の城に召した。使は一応老中本多上野介正純の邸に入って、そこで衣服を改めて登城することになった……


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