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現代文学における全体の問題
1974年11月5日 東京
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提供:岩波書店
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内容紹介
講演の冒頭、野間は「最近はアインシュタインの相対性理論に取り組んでいる」と語る。なぜ文学者がこうした問題に頭を悩ませるのか。それは、文学の扱う領域とは人間の行動・機能を構成する全てもの、人間を取り巻く全世界、果ては地球の運命にまで至る「全体」だからだ、と野間は主張する。以下、この「全体」の問題について、猪野謙二・大江健三郎・高橋和巳・寺田透らとの討論、とりわけ分子生物学者から得た新たな知見を土台に語ってゆく。
講演者紹介
野間宏
1915年兵庫県生まれ。小説家、評論家、詩人。38年、京都帝国大学文学部仏文科卒。46年、戦時下で左翼運動に身を投じた若者たちの運命を描いた『暗い絵』を発表、第1次戦後派の旗手とよばれる。71年、『青年の環』で谷崎潤一郎賞受賞。文学の国際交流に尽力し、74年に「日本アジア・アフリカ作家会議」初代議長に選出される。77年、『狭山裁判』など部落問題に関する言論活動により松本治一郎賞を受賞。91年没。
注釈
「現代日本の開化」
夏目漱石が明治44年(1911)年8月、和歌山でおこなった講演。野間が語る「日本の文明の内発的でないこと」は、次の一節を踏まえている。「西洋の開化(すなわち一般の開化)は内発的であって、日本の現代の開化は外発的である。ここに内発的と云うのは内から自然に出て発展するという意味で丁度花が開くようにおのずから蕾が破れて花弁が外に向うのをいい、また外発的とは外からおっかぶさった他の力でやむをえず一種の形式を取るのを指したつもりなのです」。
ジャック・モノー
1910―76年。フランスの分子生物学者。1965年、遺伝的形質発現の遺伝的制御機構に関する発見により、フランソワ・ジャコブ、アンドレ・ルヴォフとノーベル生理学・医学賞を共同受賞。著作に『偶然と必然』(みすず書房、1972年)
アンドレ・ルヴォフ
1902―94年。フランスの微生物学者。19歳でパスツール研究所に入り、原生動物・細菌の研究を行う。1965年、上述のモノー、ジャコブらとの共同研究でノーベル生理学・医学賞を受賞。著作に『生命の秩序』(みすず書房、1973年)など。