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実説 城谷怪談 撰集五十一

実説 城谷怪談 撰集五十一

著者:城谷歩

朗読:城谷歩

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実説 城谷怪談

老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。

内容紹介

「やなぎ橋の怪」(29分)
岐阜県養老郡にある杭瀬川にかかる橋には曰くがある。
佐竹さんは奇しくもその曰くに一枚かんでしまっている当事者の一人だ。元来幅は狭く、ガードレールも何もない古い橋は地元の地理に詳しい利用者でさえ相当に気を使わなければ車での往来はよほど困難な場所だったそうだ。それでも却って安全運転になるためかそれまで事故らしい事故は起きていなかった。
それが昭和の終わり間際についに車ごと川に転落し運転手が死亡する事故が起きてしまった。この事故をきっかけにいよいよ橋の架け替えが具体化することになったのだが、以降十数年の間に同じような死亡事故が相次ぎ、橋架け替えに準じた土地開発のもめごとのさなか不審死を遂げた老人までも合わせると六人もの人が亡くなったのである。
そして魔の手はある日の晩佐竹さんに襲い掛かったのである。

「狐」(22分)
栄子さんが小学校五年生だったある夜、急な来客があった後両親が神妙な面持ちで二つ隣の町まで出かけて行った。
深夜になって疲れ切った様子の母が一人で帰宅したが、父の姿がない。聞けばまだ父は出先で奮闘中だという。
そのころ栄子さんの両親はある宗教に入信している熱心な信者で拝み屋さんのようなことをしていたそうだ。知り合いのおばあさんが亡くなったというので拝みに呼ばれたという。
亡くなっているのに拝むというのはどうしたことだろうと思っていると、翌日父が帰宅した後にようやく事の詳細を教えてもらった。
「おばあさんは息を引き取った直後、にわかに布団に起き上がるとうなったり、うろうろとはい回ったりし始めて...」世にいう狐憑きと呼ばれる現象にまつわるエピソードである。

「一人になってはいけない」(29分)
幸子さんが高校生のとき、修学旅行で九州に出向いた宿でのこと。
修学旅行生相手の旅館は新館と旧館を長い渡り廊下で繋いだ大きな建物だった。あいにく間数の調整がつかずに幸子さんの班だけが旧館に割り当てられてしまったのだが、先生たちの部屋とも離れているし夜更かしができるとはしゃいだのもつかの間、実際に部屋を訪れてみるとどんよりと空気が重い。
班員たちが早々にお土産を求めに新館へ向かったのを見届け集団行動が苦手な幸子さんは一人部屋に残った。
そして予期せぬ事態が静かに、そしてまた着実に幸子さんに忍び寄ってきたのである。

「守り人」(21分)
寺社仏閣を訪れる時、場所場所に応じた作法がある。せめて入り口をくぐる前には挨拶をしたいものだ。
ピヨ子さんは二十代の頃ひょんなことから仏像の美しさと精神世界に魅了されて時間ができるとあちこちの寺社仏閣を訪ねては写真を撮るのに夢中だった。
中でもお気に入りは聖徳太子だったが、大阪河内長野の叡福寺に太子三十三歳の像が安置されていると聞き喜んで出向いた。頭の中は写真のことでいっぱいできちんとお参りもせずにズカズカと境内の散策を始めた。やがて夢殿を模した八角堂を見つけたのだが...。
写真を撮るピヨ子さんの近くに四つの黒い影が現れた。

著者情報

城谷 歩(しろたに わたる)

プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年~2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー
スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
https://www.shirotaniwatarunosekai.com/


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・録音音声の中には、今日においては不適切と思われる表現がありますが、音源または原文の歴史的価値を尊重し、改変を加えずそのままとしました。
・当時の録音状況や、原盤の保管状態の不備などにより、一部にお聴き苦しい箇所があることをご了承下さい。