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二銭銅貨

二銭銅貨

著者:江戸川乱歩

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内容紹介

ある大きな工場に、泥坊事件が起こった。
職工給料日の当日、工場に潜り込み、用意された給料を巧みに盗み取ったのだ。
その損害高はなんと約5万円(現代価値で1億円以上にも相当)。
この泥坊事件は世間をたいへんに賑わせた。

結局、その大泥坊も警察の尽力により逮捕することができたのだが、
盗んだ5万円の隠し場所について、泥坊は一言も白状しなかった。
被害者の工場は困り果て、盗まれた金を発見したものには、
発見額の一割の賞を懸けると発表した……。

一方で、「私」とその友人、松村武の二人は窮迫し、行き詰っていた。
貧弱な場末の下駄屋の一室で、妄想を糧にゴロゴロしてばかりいた。

そんな折、松村は机の上に置かれた二銭銅貨に目を留めた。
それは「私」が煙草屋の釣り銭として受け取ったものだったが、
松村は非常な関心を示し、銅貨と煙草屋について細かに尋ねてきた。
話を聞くなり松村は異様な行動をはじめ、「私」はある種の興味を持って彼を眺めた。

そしてあくる日、松村は風呂敷包を背負って帰ってきた。
松村は言う。
「この風呂敷包の中には、君、五万円という金が這入っているのだよ」

ただ一枚の二銭銅貨から端を発した大捜査。
暗号から導き出される真実とは?

江戸川乱歩の処女作であり、日本初の本格探偵小説ともいわれる一作。

著者情報

江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)

日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。


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