昭和文学の諸問題② 1969年7月18日 岩波市民講座 岩波ホールにて収録 再生時間:1時間57分18秒 無料再生時間: 提供:岩波書店 |
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内容紹介
昭和文学、特に戦後の文学史における一人の発言者として生きてきた講演者が、単なる傍観者や学問的立場ではなく、未だなまなましいものとしての昭和文学史を独自の観点で語る。第1回では昭和文学の前段階であった大正末期から昭和初年にかけて、様々な文学論争にみる小説観を扱い、第2回では小林秀雄「私小説論」を中心に昭和10年前後の文芸批評の推移を論じる。第3回では戦後、カミュ『異邦人』論争などをめぐり、昭和文学を貫く本質的かつ固有な問題を考える。講演者紹介
平野謙
1907年京都市生まれ。文芸評論家。東京帝国大学卒。在学中より評論を発表、戦後新しい文学を目指して本多秋五・埴谷雄高・荒正人・佐々木甚一・小田切秀雄と雑誌「近代文学」を創刊し、中野重治らとの文学論争を繰り広げながら戦後文学のオピニオン・リーダーとなった。『昭和文学史』『わが戦後文学史』などにまとめられた文学史的な検討とともに、私小説批判にも関心を向け、『女房的文学論』『芸術と実生活』などを著した。相模女子大学・成城大学・明治大学で教鞭をとり、1978年没。注釈
「宣言一つ」
有島武郎が大正11年1月に発表した論考。労働者階級の新しい文化の創造に知識人階級は寄与できないとする主張に対し、芸術の超階級的普遍性文学を唱えた広津和郎はじめ多くの文学者から意見が提出された。思想と実生活論争
昭和10年12月に翻訳刊行されたトルストイの未発表日記について、正宗白鳥は思想的煩悶よりも実生活の困難に文学の真相を見るとした感想を発表、それを批判した小林秀雄との間で交わされた論争。純粋小説論争
昭和10年4月、「純文学にして通俗小説」を唱えて横光利一の発表した「純粋小説論」をめぐり、中村光夫・伊藤整ら多くの作家が小説論を発表した。「異邦人」論争
昭和26年6月発表の窪田啓作訳・カミュ「異邦人」について、「心理実験室の遊戯」と批判した広津和郎と中村光夫との間で、小説概念をめぐり交わされた論争。チャタレイ論争
昭和25年6月に刊行されたロレンス「チャタレイ夫人の恋人」が猥褻文書とされ、訳者伊藤整と出版者が起訴されたことについて、「表現の自由」をめぐって論壇・文壇から多くの抗議が行われた。シリーズ一覧
昭和文学の諸問題①昭和文学の諸問題②
昭和文学の諸問題③